HARG療法(ハーグ療法)による薄毛治療

AGA治療
HARG療法(ハーグ療法)による薄毛治療の画像

施術による薄毛治療方法のひとつに「HARG(ハーグ)療法」があります。
フィナステリド(プロペシア)やミノキシジル等の治療薬による治療とは異なり、頭皮にHARGカクテルと呼ばれる成長因子を注入することで頭髪を再発毛へと導き、髪が生えていた状態の頭皮へと戻します。

HARG療法施術後の発毛率は99%とも言われ、毛髪再生という形で薄毛やハゲの改善が見込めます。
性別を問わず効果を発揮することから、男性・女性共に関心を寄せる方も多いHARG療法ですが、手術を受けるにはかなり高額な治療費がかかります。
今回は、本当に発毛率が99%なのか、高額な治療費を払ってでもHARG療法は受ける価値があるのか、気になる点を解説します。

毛髪再生のHARG療法

HARG療法とはHair Re-generative therapyの頭文字から命名された毛髪再生療法です。
毛髪再生医療については2020年の実用化を目指し、資生堂や京セラなど大手企業を中心に研究が進められてていますが、2017年現在ではHARG療法は薄毛を根本的に解決するためのたった一つの治療法であると言われています。

幹細胞から抽出したAAPEと呼ばれるタンパク質を含んだ「HARGカクテル」頭皮に直接注入することで、髪の元となる毛母細胞の増殖や活性化を促進し、ヘアサイクルを「休止期」から「成長期」へと導きます。かなり進んでしまった薄毛や、後退の進んだ生え際であっても細胞が生きていれば効果を発揮するとされており、脱毛症やAGA、FAGAびまん性脱毛症)など幅広い薄毛の悩みを解消します。

HARGカクテルの「AAPE」と「メソカクテル」

HARG療法では、毛髪再生に必要な成長因子を含んだ「AAPE」と健康的な育毛に重要となる栄養素を含んだ「メソカクテル」を混合した「HARGカクテル」を用いて治療を行います。HARGカクテルは液状の治療薬となっており、薄毛やハゲが気になる箇所へ直接注入して毛髪の再生を促します。

AAPEとは

AAPEとはAdvanced Adipose-derived stem cell Protein Extractの略称でHARG療法の毛髪再生のポイントとなる成長因子を含有した製剤です。
ベースは健康な成人女性から摂取した脂肪幹細胞となっており、こちらを細胞培養して作られたのがAAPEです。
AAPEには実に150種類以上の成長因子が含まれており、代表的なものには毛母細胞の増殖を促進させるKGF、毛髪の成長期を維持するPDGF、頭皮における血管新生を促すVEGFなどがあります。

【AAPEに含まれる成長因子の一例】
・毛母細胞の増殖を促進する「KGF」
・成長が止まった休止期状態の毛髪を成長期へと導く「HGF」
・育毛と発毛の重要なポイントとなる成長期を維持する「PDGF」
毛包に栄養を送る血管の形成促進や毛髪量の増加を促す「VEGF」
など150種類以上の成長因子が配合されています。

これらの成長因子を頭皮に注入すると、休止状態だった頭皮の毛母細胞に働いて毛母細胞を成長期へと移行させ、発毛を促進します。

また、頭皮の毛母細胞の周辺には活動の停滞した多くの幹細胞が眠っています。AAPEを頭皮に注入することで、これらの幹細胞も毛母細胞と同様に刺激を受けて活動状態へと移行します。
すると、これらの幹細胞も独自の成長因子を分泌し、この成長因子が毛母細胞を刺激することでさらなる発毛効果をもたらします。このようにHARG療法ではAAPEのもつ複合的な作用により強力に発毛を促進することができるのです。

このようにHARG療法は毛髪の成長促進作用だけでなく、育毛効果を有していることも特徴です。

メソカクテルとは

HARG療法で頭皮に注入するHARGカクテルにはAAPEの他にも多くの栄養成分が含まれています。

【メソカクテルに含まれる成分の一例】
・血管を拡張させて栄養分の供給量を増やす働きをする「ブフロメジル」
・毛髪タンパクのケラチンを構成するアミノ酸である「シスチン」
・アミノ酸の代謝を活性化することで毛髪の成長を促進させるビタミンBやビタミンHなど
様々な成分が含まれており、成長因子による毛髪の促進を脇からサポートする役割を果たしています。

HARG療法は発毛と育毛の両方をサポートすることでただ発毛させるのではなく、健康的な髪を作り出すための工夫が取り入れています。

HARG療法による発毛率は99%

細胞レベルで薄毛治療を行うことができることから、HARG療法はミノキシジルやフィナステリド(プロペシア)などの治療薬を用いた治療方法よりも高い効果と発毛率を誇ります。

HARG療法の開発者である福岡大太朗医師が運営し、国内No.1の症例数を扱っているHARG治療センターによると、その発毛率は99%と公表されています。

この数値がHARG治療の第一人者が2000例以上の膨大な症例の治療から得た結果であることを考慮すると、信頼性の高いものであると言うことができるでしょう。

薄毛の改善の度合いには個人差があることは否めませんが、少なくともHARG治療を施行したにも関わらず全く発毛効果が見られなかったというようなことはほぼ起こらないと言えます。

「HARG療法に効果が無い」と感じる方もいらっしゃいますが、それはHARG療法の効果を実感する前に治療を止めてしまったケースが多いようです。HARG療法自体は大変有効な薄毛治療方法のひとつですが、薄毛の進行度合いによっては効果を実感するまでに時間を要する場合があります。
焦らずに発毛が起きるまでしっかりと治療を継続するのも重要なポイントと言えるでしょう。

なお、HARG療法はプロペシアなどのAGA治療薬と異なり、性別に関係なく実施することができることも大きな特徴の一つです。
特に、女性は男性と比べて薄毛治療の選択肢が少ないと言われているため、高い有効性を持つHARG療法は女性の薄毛治療にとって大きな味方となります。

実際に数多くの臨床結果から、女性は男性よりもHARG療法による改善度が高いという事例も報告されています。

これは、男性では治療を実施して改善が得られた後も、男性ホルモンの影響で再び毛髪が抜け落ちる可能性があることに対して、女性では男性ホルモンの影響を受けにくいため発毛状態が維持されることが原因と言われています。

また、AAPEにはアレルギーの原因物質を含まないため、これまで副作用やアレルギー等の体質的な問題でミノキシジルやフィナステリド(プロペシア)などの治療薬を使用できなかった方でも治療を行うことができます。

どんな人がHARG療法に向いているのか

先述したように、HARG療法は高い発毛率や持続力を特徴とします。

このため、他の薄毛治療法を色々と試したけれども期待するような効果がみられなかった方でも、驚異的な発毛率を誇るHARG療法であれば満足のいく結果が得られる可能性が高いと言えます。

薄毛に有効な治療法としてフィナステリドやミノキシジルなどの発毛剤を服薬する方法もありますが、一般に、これらの薬の作用は一時的とされています。

服用を止めると脱毛症状が再発する危険性が高まるため、薄毛を防ぐためには長期に渡って薬を飲み続ける必要があり、副作用のリスクも生じることになります。

これに対してHARG療法では、毛周期を改善することで全ての毛髪を成長期へと促すため、治療終了後も発毛効果が持続します。

通常、治療は月1回の通院を半年ほど繰り返すと終了します。その後は数カ月に1回の定期的なメンテナンスをすることになりますが、毎日服薬を継続することに比べて格段に手間は少なくなります。

また、1回の施術に要する時間も10~20分程度と短く、入院する必要もないため、忙しい方でも治療を行うことが可能です。

こうした点を考慮すると、HARG療法は高い治療効果を期待して薄毛を完治に近い状態まで改善させたい人や、服薬による副作用のリスクを避けたい人、比較的短期間で治療を終えたいと考えている人に適する治療法であると言えます。

HARG療法の効果を実感できるのはいつ?

HARG療法を行ったとして、気になるのはいつ頃発毛を実感できるようになるかですよね。
こちらについては細胞の活性化が重要なポイントとなるのでどうしても個人差が発生します。

基本的には3ヶ月~4ヶ月程度で発毛を実感するようになり、6ヶ月程度で発毛した髪が育ち、外見の違いを感じられるようになる方が多いようです。施術回数としては3~4回目の施術で発毛を確認できるようになる方がほとんどです。

細胞の活性化については年齢的な要素も絡んでくるので、若年層の方の方が効果を実感しやすくなっていますが、高年齢の方でもしっかりと治療を継続することでHARG療法の発毛効果を実感できるようになります。

また、先述の通り、AGAの原因となる男性ホルモンの一種「ジヒドロテストステロン」の影響を受けづらい女性の方が早く発毛効果が現れます。

HARG療法の費用は?

HARG療法自体は保険が適応されない自由診療となるためクリニックや病院によって価格設定は変わります。
1回当たりおよそ10万~15万程度がおおよその相場となっております。
クリニックや病院によっては、一定の回数施術を受けるコースを選択することで1回当たりの施術費用を抑えることもできるのでHARG療法を受ける際にはトータルの金額を考えて施術メニューを選びましょう!

HARG療法を受けたら一生フサフサでいられる?

HARG療法を完了した後、発毛した髪の毛は通常の健康な髪と同じく正常なヘアサイクルを繰り返します。
髪が抜けてもまた生えてくる状態が持続しますが、残念ながら永久に生え続けるわけではありません。
基本的には老化現象により少しずつ薄くなっていくと考えられています。
HARG療法完了後も、できるだけ頭皮や毛髪のケアを心がけましょう。

HARG療法は痛い?

HARG療法は、HARGカクテルを注射器やダーマローラなどを用いて直接薄毛が気になる箇所へ注入するのが一般的な施術方法です。
針が頭皮に刺さるため「HARG療法は痛い」というイメージを持っている方も多く、実際HARGカクテル注入時の痛みに耐えられず施術を中断する方も中にはいらっしゃいます。

クリニックや病院によってはブロック麻酔等で痛みを和らげる対処を行う所もありますが、麻酔をかけずに施術を行う場合もあり、HARG療法を受けるのに二の足を踏む方もいます。

しかし、最近では施術時の痛みを軽減するためにノンニードルHARG浸透注入療法を取り入れているクリニックや病院も増えてきました。
ノンニードルHARG浸透注入療法は、メドジェット(MEDJET)と呼ばれる銃のような形をした器具で、通常の注射針が0.26mmなのに対し、こちらのメドジェットの注射針はわずか0.03mmです。

また、注射針で施術を行う際にはしっかりと針を差し込んでHARGカクテルを注入しますが、ノンニードルHARG浸透注入療法の場合は皮膚正面に噴射してHARGカクテルを頭皮へと行き渡らせます。

HARG療法を行うクリニックや病院では基本的に施術前にしっかりとしたカウンセリングを行います。痛みが気になる場合や、針が苦手な方は、事前にその点を伝えると良いでしょう。また、HARG浸透注入療法を行っているクリニックや病院を探すのもおすすめです。

HARG療法のメリットとデメリット

HARG療法のメリット

HARG療法のメリットには発毛率の高さや効果の持続性が挙げられます。
HARG療法は毛髪の幹細胞に働きかけることで、根本から毛髪の再生や成長を促進します。

人間に本来備わっている成長の力を呼び覚ますことによって、薄毛を根本的なレベルで改善するため、治療終了後も持続的な効果を見込むことができます。

これは、フィナステリドやミノキシジルなどのように服用を中止すると効果が減退してしまう薬にはない特徴であり、HARG療法の大きなメリットとなります。

また、HARG療法は治療による発毛率も非常に高いことから、他の治療では改善しなかった薄毛に対しても切り札として用いることもできます。

HARG療法のもう一つのメリットとして、副作用がほとんどないことがあげられます。

フィナステリドやミノキシジルなどの薄毛治療薬は効果が強い反面、副作用のリスクが大きいことでも知られています。

フィナステリドは男性ホルモンの働きを抑えるため性機能低下をはじめとする様々な副作用が報告されており、女性への投与も禁止されています。

また、ミノキシジルは心臓や血圧に影響を与える可能性があり、心疾患を有する方や高齢者の方などには使いづらいなど、投与には様々な制約があります。

これに対してHARG療法では問題となる副作用はほとんど報告されておらず、年齢や性別を問わず幅広い方に適用することが可能です。

さらに、HARG療法のメリットとして施術に伴う身体的な負担が少ない点も挙げられます。

HARGカクテル注入時の痛み自体はありますが施術の時間は非常に短く、術後に頭皮が腫れたり傷跡が残ったりするといった心配もなく、入院する必要もないため、仕事をしている人でも安心して治療を継続することができます。

自毛移植や人工植毛などの施術では頭皮やまぶたに腫れが生じ、長い場合だと術後10日ほど腫れが続いてしまうことを考えるとHARG療法は大変優れていると言えます。自分の髪が生えてくるので、発毛後の仕上がりが自然なのも大きなポイントです。

このように、HARG療法は高い効果が得られるだけでなく、安全性や汎用性の面でも優れており、様々なメリットをもつ薄毛治療法ということがお分かりいただけるでしょう。

HARG療法のデメリット

HARG療法のデメリットは何といっても治療費が高額になってしまうことでしょう。

HARG療法は保険医療の対象外であるため、施術は自由診療扱いになります。そのため、クリニックにより差はあるものの一般に治療費はかなりの高額になります。

通常、1回の施術には数万~数十万円の費用がかかり、治療終了までには半年間で6~10回の施術が必要となるため、大きな経済的負担を覚悟しなければなりません。

このようにHARG療法に要する治療費は軽い気持ちで始められる額ではないため、治療を受ける際には他の手段とも十分に比較検討する必要があると言えます。

まとめ

今回はHARG療法の気になる点をまとめてご紹介しました。
治療費は高額となりますが99%を誇る発毛率の高さと効果の持続性を考慮すると十分な価値があるのではないでしょうか。
ミノキシジルやフィナステリド(プロペシア)などの継続的な服用に抵抗がある方や、薄毛の完治を目指す方はぜひ検討してみてください。

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